介護業界というと「介護職員」「ヘルパー」「看護職」などが思い浮かびますが、実際にはこれら以外にも施設を支える多様な職種が存在します。
それが今回紹介する「介護・その他」カテゴリーに含まれる仕事です。
たとえば、調理補助・介護事務・清掃・福祉相談員・世話人など、介護スキルがなくても挑戦できる職種も多く、近年では未経験から介護業界に入る入口として非常に人気が高まっています。
厚生労働省の調査によれば、介護施設のスタッフ構成のうち約28%が“介護以外の職種”で構成されており、施設運営に欠かせない存在となっています。
本コラムでは、介護・その他に含まれる9つの仕事の内容やメリット、向いている人、キャリアの広げ方などをわかりやすく解説します。
「資格がないけど介護業界で働きたい」「体力に自信がないけど誰かの役に立ちたい」そんな人にもぴったりの内容です。

介護・その他に含まれる9つの職種
今回扱うのは以下の9職種です。
- 障害者スタッフの指導員(店舗支援)
- 介護事務
- 世話人
- 福祉相談員
- 調理補助
- 泊まりの非常勤職員
- 清掃スタッフ
- サービス付き高齢者向けマンションのスタッフ
- 配食スタッフ
それぞれが全く違う役割を持ち、どれもなくてはならない仕事です。ここから、ひとつひとつ詳しく見ていきます。
① 障害者スタッフの指導員(店舗支援)
障害を持つ方が働く事業所や店舗で、業務の流れをサポートする仕事です。
作業手順を教えたり、困っている時にフォローしたり、時には一緒に作業することもあります。
主な仕事内容
- 作業工程の説明・指導
- 店舗での接客サポート
- 安全面の見守り
- 個別支援計画の記録
一人ひとりの成長が目に見えやすく、「できることが増えた」瞬間に立ち会えるのが大きなやりがいです。
② 介護事務
介護保険制度に基づく事務手続きを行う専門事務職です。
デスクワーク中心で、体力に不安がある人でも働きやすい仕事です。
主な業務
- 介護保険請求(レセプト業務)
- 電話応対・来客受付
- 利用者情報の管理
- 書類整理・データ入力
介護保険制度は複雑ですが、覚えれば専門性が高く、事務職の中でも安定性と需要が非常に高いのが特徴です。
③ 世話人
障害者グループホームや高齢者向け住まいで、入居者の生活を支える仕事です。
家事サポートが中心で、直接身体介助を行わないケースが多いため、未経験でも挑戦しやすい職種です。
仕事内容
- 食事作りや配膳
- 洗濯・掃除などの生活援助
- 入居者とのコミュニケーション
- 見守り・夜間巡回
家族のように接する距離感が魅力で、入居者の安心した生活を支える大切な役割です。
④ 福祉相談員
利用者やその家族の相談を受け、施設や行政とつなぐ役割の相談支援職です。
施設の“窓口”となるため、コミュニケーション能力が求められます。
仕事内容
- 利用者・家族からの相談対応
- 行政との連携調整
- ケアマネジャーとの連絡
- サービス利用に必要な書類対応
人の生活に深く寄り添う仕事のため、「誰かの支えになりたい」という気持ちがある人に向いています。

⑤ 調理補助
介護施設で提供する食事作りを手伝う仕事です。利用者の健康を支える大切な役割で、ニーズが非常に高い職種です。
主な業務
- 食材の下準備
- 盛り付け
- 簡単な調理
- 食器洗浄
- 厨房の清掃
1回の食事提供数は施設によって異なり、デイサービスでは20〜30食、特養では80〜120食ほど。
スピードと清潔さが求められますが、家庭の料理スキルがそのまま活かせます。
⑥ 泊まりの非常勤職員
夜間の見守り・巡回を行う仕事で、グループホームや小規模施設で特に必要とされています。
仕事内容
- 就寝中の見守り
- 定時の巡回
- 簡単な生活サポート
- 緊急時の対応
夜勤といっても、ほとんどの時間が「見守り」で、身体介助が少ない施設も多いため、副業やWワーク層にも人気です。
⑦ 清掃スタッフ
介護施設の衛生環境を整える専門職です。感染症対策が重視される今、清掃の質は施設評価にも影響します。
主な業務
- 共有スペースの清掃
- 居室の清掃
- トイレ・浴室の清掃
- ゴミ出し・備品補充
「人と話すより黙々と働きたい」そんな人に向いています。
⑧ サービス付き高齢者向けマンションのスタッフ
“サ高住”と呼ばれる施設で、生活相談や見守りを行う仕事です。
介護スキルが必要ない職場もあり、比較的負担が少ないのが特徴です。
仕事内容
- 入居者の見守り
- 生活面の相談対応
- 館内の巡回
- 業者との調整
やさしいコミュニケーションができる人なら活躍できる職種です。
⑨ 配食スタッフ
高齢者向けに、栄養バランスのとれた食事を届ける仕事です。近年、配食サービスの利用者が増加し、需要が高まっています。
主な業務
- お弁当の受け取り・仕分け
- 配達ルートの確認
- 利用者へのお届け(安否確認を兼ねる)
- 簡単なコミュニケーション
「顔を見て安心した」と言われる仕事で、地域に密着した働き方ができます。
介護・その他の仕事が人気上昇している理由
ここ数年、介護業界の中でも「その他の職種」の応募数が大幅に伸びています。
理由は以下のとおり。
- 資格なし・未経験OKの求人が多い
- 体力負担が少ない
- 接客・事務・調理など前職の経験がそのまま活かせる
- 働き方の選択肢が多い(短時間・夜勤だけ等)
- 介護業界の需要が上昇し続けている
特に、介護事務・世話人・調理補助・配食スタッフは女性の応募が多く、
30〜50代の“再スタートの仕事”としても選ばれています。

未経験でも働ける?必要なスキルは?
結論:ほとんどの職種が未経験OKです。
必要なスキルは以下のとおり。
- 明るい対応・コミュニケーション力
- 基本的なPC入力(介護事務)
- 清潔感
- 思いやり・気配り
- 安全に配慮できる判断力
どの職種も、人と関わる気持ちさえあれば始めやすいのが特徴です。
介護・その他で働くメリット
- 資格がなくてもすぐ働ける
- デスクワーク・軽作業・生活支援など仕事の幅が広い
- 体力負担が少ない職種も多い
- 地域密着で働ける
- 人の役に立つ実感が得られる
介護経験がなくても、ここからスタートして介護職員や相談支援専門員へのステップアップも可能です。
まとめ|あなたに合う働き方が見つかるのが「介護・その他」
介護・その他には、施設運営に欠かせない多様な職種が含まれます。
体力に自信がない人、資格がない人、接客が好きな人、黙々と作業したい人——
どんな性格でも、必ず自分に合う仕事が見つかるのがこのカテゴリの魅力です。
人の生活に寄り添う仕事は、やりがいも安定性も高く、長く働きやすい職種ばかり。
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