介護施設の求人を探していると、「機能訓練指導員」という職種を目にすることがあります。「リハビリを担当する人?」「理学療法士とは違うの?」「機能訓練指導員という資格が必要なの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
機能訓練指導員は、高齢者ができる限り自立した生活を続けられるよう、一人ひとりの身体状況や生活環境に合わせて機能訓練を行う職種です。デイサービスや特別養護老人ホームなど、さまざまな介護施設で活躍しています。
ただし、「機能訓練指導員」という名称の国家資格があるわけではありません。理学療法士や作業療法士、看護職員、柔道整復師など、定められた資格を持つ人が介護施設で機能訓練を担当する際の職種名として使われています。
この記事では、機能訓練指導員の仕事内容や必要な資格、デイサービスと特別養護老人ホームでの働き方の違い、給料の目安、求人を選ぶ際に確認したいポイントまで詳しく解説します。

- 機能訓練指導員とは?
- 機能訓練指導員は資格の名前ではない
- 機能訓練指導員として働ける資格
- 機能訓練指導員の主な仕事内容
- 利用者の身体機能・生活状況を確認する
- 個別機能訓練計画を作成する
- 機能訓練を実施する
- 記録・評価・計画の見直し
- デイサービスで働く機能訓練指導員の特徴
- 特別養護老人ホームで働く機能訓練指導員の特徴
- デイサービスと特養はどちらが働きやすい?
- デイサービスが向いている人
- 特養が向いている人
- 機能訓練指導員の給料はどれくらい?
- 機能訓練指導員の求人を選ぶ5つのポイント
- 1.機能訓練に専念できるか確認する
- 2.機能訓練指導員の人数を見る
- 3.対象となる利用者の状態を確認する
- 4.給与は基本給だけで比較しない
- 5.勤務時間・休日・残業を確認する
- 機能訓練指導員の仕事で求められること
- まとめ
機能訓練指導員とは?
機能訓練指導員とは、介護サービスを利用する高齢者に対して、日常生活を送るために必要な身体機能・生活機能の維持や向上を目的とした訓練を行う職種です。
介護保険制度では、通所介護(デイサービス)や特別養護老人ホームなどに機能訓練指導員を配置する基準が定められています。
病院で行われるリハビリテーションでは、病気やけがからの回復を目的として専門的な訓練を行うケースが多いのに対し、介護施設の機能訓練では「自宅のトイレまで歩けるようにする」「自分で着替えられる状態を維持する」「転倒しにくい身体をつくる」など、日常生活に直結した目標が重視されます。
機能訓練指導員は資格の名前ではない
求人を見る際に特に注意したいのが、機能訓練指導員は独立した資格の名称ではないという点です。
機能訓練指導員として働くためには、原則として機能訓練を行う能力があると認められる医療・リハビリ系の資格が必要になります。勤務先では、それぞれが保有する専門資格を生かしながら機能訓練指導員として配置されます。
機能訓練指導員として働ける資格
介護施設で機能訓練指導員として配置される主な資格には、次のようなものがあります。
- 理学療法士(PT)
- 作業療法士(OT)
- 言語聴覚士(ST)
- 看護師・准看護師などの看護職員
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
- 一定の条件を満たしたはり師・きゅう師
はり師・きゅう師については、資格を取得しているだけで直ちに対象となるわけではなく、一定の資格を持つ機能訓練指導員が配置された事業所で、機能訓練指導に従事した経験など所定の条件が必要となる場合があります。
また、「介護福祉士を持っていれば機能訓練指導員になれる」と考える方もいますが、介護福祉士資格だけで機能訓練指導員として配置できるわけではありません。求人へ応募する際は、募集要項の「応募資格」「必須資格」を必ず確認しましょう。
機能訓練指導員の主な仕事内容
機能訓練指導員の仕事は、利用者に運動をしてもらうだけではありません。身体状況の評価から目標設定、訓練、記録、他職種との情報共有まで幅広い業務を担当します。
利用者の身体機能・生活状況を確認する
まずは利用者の歩行状態、立ち上がり、関節の動き、筋力、日常生活動作などを確認します。
「歩けるかどうか」だけを見るのではなく、自宅に段差があるのか、家族と暮らしているのか、一人でトイレへ行く必要があるのかなど、実際の生活環境まで把握することが重要です。

個別機能訓練計画を作成する
利用者の状態や本人・家族の希望を踏まえ、必要に応じて個別機能訓練計画を作成します。
目標は単純に「筋力を上げる」とするのではなく、「自宅玄関の段差を安全に昇降する」「買い物へ自分で行く」「食事を自分で食べ続ける」といった具体的な生活場面を意識して設定することが大切です。
機能訓練を実施する
計画に基づき、利用者の状態に合わせて歩行訓練、立ち上がり訓練、関節可動域訓練、筋力トレーニング、日常生活動作の練習などを行います。
高齢者の場合、持病や体調の変化があることも少なくありません。その日の体調を確認しながら、安全に実施できる内容へ調整する判断力も求められます。
記録・評価・計画の見直し
機能訓練を実施した後は、利用者の状態や訓練内容を記録します。一定期間ごとに目標への進み具合を評価し、必要に応じて訓練内容や目標を見直します。
介護施設では、機能訓練指導員だけで利用者を支援するわけではありません。介護職員、看護職員、生活相談員、ケアマネジャー、管理栄養士などと情報を共有しながら支援を行うため、コミュニケーション能力も重要です。
デイサービスで働く機能訓練指導員の特徴
デイサービスは、利用者が自宅から施設へ通い、入浴・食事・レクリエーション・機能訓練などのサービスを受ける場所です。
通所介護事業所には、機能訓練指導員を1名以上配置する基準が設けられています。
自宅で生活している高齢者が対象となるため、デイサービスの機能訓練では「現在の生活をできるだけ長く続けること」が大きなテーマになります。
- 歩行訓練や立ち上がり訓練
- 転倒予防のための運動
- 筋力・バランストレーニング
- 日常生活動作の訓練
- 集団体操
- 利用者ごとの評価や記録
デイサービスは基本的に日中にサービスを提供するため、機能訓練指導員についても日勤中心の求人が多いことが特徴です。夜勤を避けながら介護分野で資格を生かしたい人にとって、選択肢になりやすい職場といえるでしょう。
一方で、事業所によっては送迎、介護補助、レクリエーションなどを兼務する場合があります。「機能訓練に専念できると思って入職したら、送迎や介護業務の割合が想像以上に多かった」というケースを避けるためにも、求人票や面接で業務範囲を確認することが重要です。
特別養護老人ホームで働く機能訓練指導員の特徴
特別養護老人ホーム(特養)は、常時介護が必要な高齢者が生活する施設です。特別養護老人ホームについても、原則として機能訓練指導員を1名以上配置する基準があります。
デイサービスとの大きな違いは、利用者にとって施設そのものが生活の場であることです。
そのため特養の機能訓練では、大幅な身体機能の改善だけを目指すのではなく、現在できている動作を維持することや、身体機能の低下をできる限り防ぐことも重要になります。
- ベッドから車いすへの移乗動作
- 座位・立位の保持
- 歩行能力の維持
- 関節の動きや拘縮予防
- 食事・更衣・排泄など生活動作の維持
- 介護職員への介助方法の助言
日常的に利用者を支援している介護職員と連携し、「普段の生活そのものを機能訓練につなげる」という視点が求められます。
デイサービスと特養はどちらが働きやすい?
どちらが働きやすいかは一概には決められません。自分が希望する働き方や、どのような利用者の支援に携わりたいかによって向いている職場が異なります。
デイサービスが向いている人
- 日勤中心で働きたい
- 比較的活動性の高い利用者の支援をしたい
- 運動や歩行訓練を積極的に行いたい
- 在宅生活の継続を支援したい
- 利用者とのコミュニケーションを楽しみたい
特養が向いている人
- 高齢者の生活に長期間関わりたい
- 重度の要介護者への支援経験を積みたい
- 身体機能の維持や拘縮・廃用予防に関わりたい
- 介護職・看護職など多職種と連携して働きたい
- 生活全体を見ながら機能訓練を考えたい
機能訓練指導員の給料はどれくらい?
機能訓練指導員の給料は、勤務先だけでなく、保有資格・経験年数・雇用形態・地域・法人規模などによって大きく異なります。
厚生労働省の令和6年度介護従事者等処遇状況等調査では、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所で働く月給・常勤の「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員」の平均基本給等は、2024年9月時点で月額286,820円でした。
ここでいう「基本給等」は、基本給に毎月固定的に支払われる手当を加えた金額であり、残業代や通勤手当、一時金などをすべて含んだ年収・総支給額とは異なるため注意が必要です。
また、機能訓練指導員には複数の資格を持つ人が含まれるため、「機能訓練指導員なら全員この金額になる」という意味ではありません。
たとえば理学療法士としての経験を評価する施設もあれば、看護師資格を生かして看護業務と兼務する求人、柔道整復師として機能訓練を担当する求人もあります。資格手当や役職手当、経験加算などの有無によっても給与は変わります。
機能訓練指導員の求人を選ぶ5つのポイント
同じ「機能訓練指導員募集」という求人でも、実際の仕事内容や働き方は施設によってかなり異なります。給与だけで判断せず、次のポイントを比較しましょう。
1.機能訓練に専念できるか確認する
特にデイサービスでは、機能訓練以外に送迎、介護補助、レクリエーション、清掃などを担当する求人があります。
兼務そのものが悪いわけではありませんが、「専門職として機能訓練を中心に働きたい」という人は、機能訓練とその他の業務の割合を確認しておきましょう。
2.機能訓練指導員の人数を見る
自分以外にも理学療法士・作業療法士・柔道整復師などの専門職が在籍しているかは、働きやすさを左右するポイントです。
一人配置の場合は裁量を持って働ける反面、相談できる同職種がいない可能性があります。介護施設での勤務が初めての場合は、教育体制や相談できる専門職の有無も確認しておくと安心です。
3.対象となる利用者の状態を確認する
同じデイサービスでも、運動に特化したリハビリ型デイサービスと、入浴・食事・レクリエーションなどを幅広く提供する一般的なデイサービスでは仕事内容が異なります。
特養でも、利用者の要介護度や医療ニーズによって求められる支援は変わります。自分の経験や得意分野に合った施設を選ぶことが大切です。
4.給与は基本給だけで比較しない
求人の給与を見る際は、月給だけでなく、資格手当、賞与、昇給、固定残業代、住宅手当、扶養手当、退職金制度なども確認しましょう。
月給が高く見えても固定残業代を含んでいる場合があります。反対に基本給がやや低くても、賞与や各種手当を含めると年収では高くなる求人もあります。
5.勤務時間・休日・残業を確認する
デイサービスでは日曜日が休みの事業所もあれば、年中無休で営業している事業所もあります。特養は24時間運営ですが、機能訓練指導員自体は日勤を基本とする求人も多く見られます。
「夜勤なし」という条件だけでなく、年間休日、土日休みの有無、残業時間、希望休の取りやすさなども含めて比較すると、自分に合った職場を見つけやすくなります。
機能訓練指導員の仕事で求められること
機能訓練指導員には専門知識や技術だけでなく、利用者の生活を見る視点が求められます。
高齢者にとって重要なのは、単純に筋力測定の数値を改善することだけではありません。「自分で食事ができる」「トイレへ行ける」「家の中を安全に歩ける」といった日常生活を維持できることが、本人の自信や生活の質につながります。
そのため、利用者本人の希望を聞きながら、介護職員や看護職員などと連携し、一人ひとりに合った目標を考えられる人は機能訓練指導員として活躍しやすいでしょう。
まとめ
機能訓練指導員は、高齢者が自分らしい生活をできるだけ長く続けられるよう、身体機能や生活機能の維持・向上を支援する仕事です。
「機能訓練指導員」という独立した資格があるわけではなく、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの資格を持つ人が、介護施設で機能訓練を担当する際の職種として位置づけられています。
デイサービスでは在宅生活を続けるための歩行・運動・生活動作の訓練が中心となりやすく、特別養護老人ホームでは日々の生活の中で身体機能を維持し、機能低下を防ぐ支援が重要になります。
求人を探す際は、給与だけでなく、機能訓練に専念できるのか、介護業務や送迎との兼務があるのか、他の専門職が在籍しているのか、利用者の状態、休日や残業なども確認しましょう。
同じ機能訓練指導員の求人でも、施設によって仕事内容や求められる役割は大きく異なります。自分が保有している資格やこれまでの経験、希望する働き方を整理したうえで、条件の合う求人を比較してみてください。


