ケアマネジャーとは?介護現場を支える「縁の下の力持ち」
介護の仕事と聞くと「介護職員」や「ヘルパー」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、介護サービスを利用する人と、実際にサービスを提供する事業所をつなぐ“司令塔”のような役割を担うのが、ケアマネジャー(介護支援専門員)です。
利用者さんが「どんな介護サービスを、どのくらい利用するか」を一緒に考え、最適な支援計画(ケアプラン)を作る仕事。
医療・福祉・行政の知識を総合的に使いこなし、人の生活そのものを支える専門職です。
ケアマネ“ジャー”? それとも“ケアマネージャー”? 正しい呼び方とは?
実はこの職業、「ケアマネジャー」と「ケアマネージャー」のどちらが正しいのか迷う方も多いのです。
結論から言うと、公的な正式名称は「介護支援専門員(Care Manager)」であり、日本語表記としては厚生労働省の文書に基づき「ケアマネジャー」と表記されます。
つまり「ケアマネージャー」は英語発音を意識した一般的な呼び方で、現場ではどちらも通じますが、履歴書や公式文書では“ケアマネジャー”が正解です。
参考:https://www.mhlw.go.jp/
ケアマネジャーの仕事内容 ― 人生を支える「設計士」
ケアマネジャーの主な仕事は、「要介護認定を受けた方のケアプラン(介護計画書)を作成し、適切な介護サービスをコーディネートする」ことです。
具体的な流れを見てみましょう。
- ① アセスメント(課題分析)
利用者さんや家族と面談し、生活状況・健康状態・希望を丁寧に聞き取ります。医療・介護・福祉の視点から課題を整理する“聞き上手さ”が求められます。 - ② ケアプラン作成
デイサービス、訪問介護、福祉用具、リハビリなど、利用者の状況に合ったサービスを組み合わせた「生活設計図」を作成します。 - ③ サービス担当者会議
医師、看護師、ヘルパー、家族などが参加する会議で、ケアプランを共有し、調整・修正を行います。 - ④ サービス実施のモニタリング
介護サービスが適切に提供されているか、利用者の状態が変化していないかを定期的に確認します。
状況に応じてケアプランを見直し、生活の質(QOL)向上を目指します。 - ⑤ 行政への申請代行
要介護認定の申請や更新手続き、介護保険請求など、書類業務も多数あります。
つまりケアマネジャーは「利用者の生活をデザインし、支援チームをまとめる設計士」であり、実際に現場で支える職員たちの“司令塔”のような存在なのです。
ケアマネジャーになるには? 資格と試験の流れ
ケアマネジャーになるためには、国家資格である介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修を修了する必要があります。
受験資格には介護・医療系の実務経験が必要で、次のような職種が対象です。
- 介護福祉士
- 看護師・准看護師
- 社会福祉士
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
- 訪問介護員(ホームヘルパー) など
多くの受験者は、介護職として5年以上・900日以上の実務経験を経て受験します。
試験の合格率は毎年20%前後で、難易度は決して低くありません。
参考:https://www.sssc.or.jp/
合格後は「実務研修(87時間)」を受講して正式に登録。
以降は、5年ごとに更新研修が必要です。医療・介護・法改正に関する知識が常にアップデートされるため、学び続ける姿勢が求められます。
ケアマネジャーの活躍の場
ケアマネジャーは、さまざまな場所で活躍しています。
- 居宅介護支援事業所:もっとも一般的。地域の利用者を訪問し、ケアプランを作成・調整。
- 特別養護老人ホーム:入居者の生活全体を支援。医療・介護スタッフとの連携が密。
- 介護老人保健施設:在宅復帰を目指す利用者のためのリハビリ支援計画を立案。
- 病院・地域包括支援センター:退院支援や地域の高齢者の相談窓口としての役割。
最近では、独立して「フリーケアマネ」として活動する人や、オンラインで相談を受けるスタイルも登場しています。
在宅介護が中心の日本では、ケアマネジャーの存在価値は今後ますます高まるでしょう。
ケアマネジャーの年収・待遇
ケアマネジャーの平均年収は350万〜500万円前後です。
居宅介護支援事業所では月給25〜35万円、施設ケアマネでは20〜30万円が相場。
経験を積むと管理職や主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)として年収600万円以上を目指せます。
収入は「利用者担当件数」「資格手当」「事業所規模」により左右されます。
また、行政や社会福祉法人に勤める場合は、安定した昇給制度や賞与が整っていることも多いです。
ケアマネジャーに向いている人
- 人の話をじっくり聞けるタイプ
- 問題解決・調整が得意
- 書類作成やスケジュール管理が好き
- 「誰かのために動きたい」という強い思いがある
ケアマネジャーは「現場を動かす裏方」でありながら、「感謝される仕事」でもあります。
一方で、調整や書類業務が多いため、コミュニケーション能力と事務処理力の両方が求められます。
ケアマネジャーのやりがいと大変さ
やりがい
- 利用者や家族から「あなたに相談してよかった」と言われる瞬間。
- 自分の作ったケアプランで生活が改善される喜び。
- 社会的貢献度が高く、地域を支える実感を得られる。
大変さ
- 書類業務・報告書作成の多さ。
- 多職種との連携で調整が難航することも。
- 利用者や家族との意見の食い違いに対応する精神力。
それでも、「人の人生を支える仕事がしたい」という熱意がある人にとって、ケアマネジャーはやりがいの塊のような仕事です。
これからのケアマネジャーに求められる力
2025年には日本の高齢者が全人口の3割を超えると予測されています。
介護ニーズはますます多様化し、単なる「手続き業務」ではなく、チームをまとめるリーダーシップやIT活用スキルも欠かせなくなっています。
近年ではICT(情報通信技術)を活用したオンライン会議、AIによるケアプラン支援システムなども登場。
こうした変化を柔軟に受け入れ、より効率的・効果的な支援を行う“次世代ケアマネ”の育成が急務です。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183313.html
まとめ:ケアマネジャーは「暮らしの設計士」
ケアマネジャーは、介護現場における最前線のコーディネーター。
目の前の人の人生を見つめ、支える“設計士”であり、社会をよりよくするためのキーパーソンでもあります。
呼び方は「ケアマネジャー」でも「ケアマネージャー」でも構いませんが、その使命はひとつ。
それは「誰もが安心して暮らせる社会をデザインする」ことです。
資格取得までの道のりは決して簡単ではありませんが、その分、得られる信頼と達成感は大きい。
利用者さんの笑顔、家族の「ありがとう」が何よりの報酬です。
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