言語聴覚士(ST)と聞くと、「病院で失語症のリハをする仕事」というイメージが強いかもしれません。
しかし、近年 ST の活躍の場は大きく広がり、介護施設・訪問リハ・老健・デイサービス など、高齢者福祉の領域での需要が急上昇しています。

実際、厚生労働省のデータでは、2025年までに言語聴覚士が現在の約1.5倍必要になる と推計されており、特に介護分野は深刻なST不足が続いています。
STの資格を持つ人のうち、介護分野で働く割合はまだ約15%程度と低く、逆に言えば「転職先として狙い目」なのが今の介護分野です。
今回は、すでに医療や保育で語られているST像とは全く違う視点から、介護領域で求められる言語聴覚士の役割と魅力 を徹底解説します。
- 介護領域の言語聴覚士(ST)の役割は「生活支援」そのもの
- ① 嚥下(えんげ)評価・摂食機能の改善支援
- ② 失語症・構音障害のコミュニケーション支援
- ③ 多職種連携の中心になる
- 介護分野で働く言語聴覚士の勤務先は?
- ① 介護老人保健施設(老健)
- ② 特別養護老人ホーム(特養)
- ③ デイサービス・デイケア
- ④ 訪問リハビリ
- 介護STの1日の流れ(イメージ)
- 介護専門のSTとして働くメリット
- ① 利用者の「人生」に深く寄り添える
- ② 嚥下のスペシャリストとして重宝される
- ③ 多職種と協力できるので孤独感が少ない
- ④ 働き方の自由度が高い(時短・パートOK)
- ⑤ 医療より残業が少ない職場が多い
- 介護領域STの年収・給与相場(2025年版)
- こんな人に介護STは向いている
- 介護分野のST転職が今アツい理由
- まとめ|介護分野の言語聴覚士は“寄り添いのプロフェッショナル”
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介護領域の言語聴覚士(ST)の役割は「生活支援」そのもの
病院でのSTは、評価→訓練→退院に向けたリハが中心ですが、
介護分野では 「日常生活をどう維持するか」 が最も重要になります。
① 嚥下(えんげ)評価・摂食機能の改善支援
介護領域で圧倒的に多いのが 嚥下評価。
高齢者の約3割が嚥下機能の低下を抱えており、誤嚥性肺炎は75歳以上の死亡原因の上位に入っています。
STは以下のような役割を担います:
- 嚥下機能評価(RSST、MWST、VF/VE所見の読解)
- 食事形態の調整(ミキサー・ソフト食・ムース食など)
- 食事時の姿勢・環境づくり
- 嚥下訓練(間接訓練〜直接訓練)
医療と違い、「安全に美味しく食べ続ける」ための継続支援が必要になるので、
“生活に寄り添う介護ST” の存在が非常に重要です。
② 失語症・構音障害のコミュニケーション支援
病院とは違い、ゴールは「自立」ではなく“生活の質(QOL)を上げること”。
高齢者施設ではミニコミュニケーションやグループ訓練が多く、
患者さんの人生背景に寄り添う温かい関わりが求められます。
③ 多職種連携の中心になる
介護領域では、ST・看護師・介護士・管理栄養士・ケアマネなど、
多くの専門職が1人の利用者を支えます。
特に嚥下の問題は 食事・薬剤・口腔ケア に直結するため、STはチームの「軸」になることが多いです。
介護分野で働く言語聴覚士の勤務先は?
介護領域のSTが活躍する場所は多彩です。
① 介護老人保健施設(老健)
入所者のリハビリ頻度が高く、STの配置が特に増えています。
嚥下評価や食事観察の機会が多く、チームリハが好きな方に向いています。
② 特別養護老人ホーム(特養)
近年、特養でもST配置が増加。
嚥下障害のある入居者が多いため、STの専門性が直接生活に活かされます。
③ デイサービス・デイケア
通所利用者の軽度〜中等度の嚥下・構音訓練がメイン。
「週に1〜2回から働きたい」というパートSTにも人気の高い職場です。
④ 訪問リハビリ
介護領域で年々需要が伸びているのが訪問ST。
ご自宅での食事環境を直に見ながら、より実生活に近い指導ができます。
介護STの1日の流れ(イメージ)
老健で働く場合の一例を紹介します。
- 09:00 申し送り・前日の食事観察の共有
- 10:00 個別嚥下評価(VF/VE結果の説明)
- 11:00 食事動作の観察・姿勢調整
- 12:00 食事ラウンド(STが巡回して誤嚥予防)
- 13:00 昼休憩
- 14:00 グループ訓練(発声・口腔体操など)
- 15:00 ケアマネ・栄養士とカンファレンス
- 16:00 記録・家族対応・今後の評価計画作成
病院とは違い、利用者の生活に“毎日寄り添う”感覚の仕事です。
介護専門のSTとして働くメリット
① 利用者の「人生」に深く寄り添える
医療STでは数週間〜数ヶ月で退院するケースが多いですが、
介護STは年単位で関わることもあり、家族のような信頼関係が生まれます。
② 嚥下のスペシャリストとして重宝される
介護の現場で最も困られるのが嚥下トラブル。
「どの食事形態が良いか」「誤嚥を防ぐ姿勢は?」など、
STの判断がそのまま利用者の安全と健康に直結します。
③ 多職種と協力できるので孤独感が少ない
看護師・介護士・栄養士・ケアマネなど連携の場が多く、
「チームで支える介護」が実感できます。
④ 働き方の自由度が高い(時短・パートOK)
介護施設では週1〜3日のSTを必要としているケースも多く、
子育て世代やWワークにも最適です。
⑤ 医療より残業が少ない職場が多い
リハビリ時間が施設で決まっているため、定時退社しやすいのもポイントです。
介護領域STの年収・給与相場(2025年版)
- 正社員:月給25万〜33万円 / 年収350万〜450万円
- パート:時給1,600〜2,200円
- 訪問リハ:1件(20分)2,000〜3,500円の出来高制が多い
医療機関より若干低めですが、働き方の柔軟性が高いのが介護分野の強み。
年収よりもライフワークバランスを重視したい方にも最適です。
こんな人に介護STは向いている
- 高齢者との会話が好き
- 生活に寄り添う支援に興味がある
- チームで働くのが好き
- 嚥下を深く学びたい
- 病院よりも“長く寄り添うリハ”をしたい
逆に、急性期でバリバリ訓練したいタイプは医療分野の方が向いています。
ひとりひとりの人生に長く関わりたい方に、介護領域はぴったりです。
介護分野のST転職が今アツい理由
その理由はズバリ、ニーズの急拡大。
- 75歳以上人口が過去最多
- 誤嚥性肺炎患者の増加
- 特養・老健のST配置義務化の議論が進む
- 訪問STが全国的に不足
- STの資格保有者の約60%が病院に偏在
つまり、介護分野は今後もっとSTが必要。
キャリアアップも、ブランク復帰も、働き方の自由度も非常に高い。

まとめ|介護分野の言語聴覚士は“寄り添いのプロフェッショナル”
医療・保育とは違い、介護分野の言語聴覚士はまさに
「生活支援の中心」 となる存在です。
食べる・話す・笑う。
当たり前のことが難しくなる高齢者にとって、STの存在は日々の安心と喜びにつながります。
利用者の人生に寄り添い、長く深く関われるのは、介護領域ならではの魅力。
これからの日本でますます必要とされる、価値の高い専門職です。
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