理学療法士とは?子どもたちの「動く」を支える専門職
理学療法士(Physical Therapist)は、病気やケガ、高齢化による身体機能の低下に対し、
運動療法や物理療法を用いて機能回復・維持・改善を図る国家資格の専門職です。
保育現場では、障がいや発達遅延のある子どもたちが、日常生活を自立して過ごせるようサポートする重要な役割を担います。
理学療法士の主な仕事内容
医療機関では骨折後や手術後のリハビリが中心ですが、保育施設や児童福祉分野では、
発達支援・日常動作(ADL)訓練・感覚統合療法など、より生活に密着した支援を行います。
例えば、座る・立つ・歩くといった基本的な動作がうまくできない子どもに対して、
姿勢保持や筋力強化などの訓練を通じて「できた!」を支える存在です。
理学療法士の勤務先:病院だけじゃない
一般的には病院やリハビリセンターでの勤務が多いですが、近年では以下のような現場でも活躍しています:
- 児童発達支援センター
- 放課後等デイサービス
- 保育園・幼稚園の巡回支援
- 特別支援学校
- 訪問リハビリ
特に、支援ニーズが高まっている今、保育分野での活躍が注目されています。
理学療法士になるには?必要な資格と学校
理学療法士になるには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定する養成校(大学・短大・専門学校)で3年以上学び、
国家試験に合格する必要があります。
2023年時点で全国に約280の理学療法士養成校が存在しており、大学進学が主流です。
主なカリキュラムは以下の通りです:
- 解剖学・生理学・運動学などの基礎医学
- 臨床実習(病院や施設での現場実習)
- リハビリ計画・指導法
理学療法士の平均年収・給料
日本理学療法士協会によると、全国の理学療法士の平均年収は以下の通りです:
- 全体平均:約410万円
- 20代後半:約350~380万円
- 30代後半:約420~450万円
- 病院勤務(常勤):約28万〜35万円/月
保育・福祉分野での理学療法士はやや低め(年収300〜380万円程度)ですが、
保育園常勤で18〜25万円/月+賞与という求人が多く、
勤務時間が安定している点が大きな魅力です。
理学療法士のやりがいと魅力
子どもたちの「できた!」を一緒に喜べる瞬間が大きなモチベーションになります。
また、保育士や作業療法士、言語聴覚士、医師、看護師、保護者と連携しながらチーム支援を行うため、
多職種協働の中で専門性を発揮できるのも魅力です。
理学療法士の離職率・就業継続率
厚生労働省「医療従事者実態調査」(2021年)によると、理学療法士の離職率はおおよそ年間10%程度。
新卒3年以内の離職率は約25%と他医療職よりやや高めですが、その理由の多くは
「給与水準」「キャリアパスの限定」「人間関係」といった環境要因が中心です。
一方、児童福祉施設や保育領域ではワークライフバランスの良さが定着率向上に寄与しており、
若手・女性理学療法士の転職先としても注目されています。
理学療法士の今後のニーズと将来性
少子高齢化が進む中で、高齢者の支援と並行して、子ども支援へのニーズも拡大しています。
特に保育園や学童施設での巡回リハビリ・発達支援業務は増加傾向にあり、
保育士資格とあわせて活躍するケースも出てきました。
加えて、リハビリ×ICT(アプリや遠隔リハ)など、新たな技術との融合も進み、理学療法士の専門性がさらに求められる時代です。
まとめ:理学療法士は保育領域でも頼られる専門職
子どもたちの「できる」を引き出す支援者として、理学療法士は保育現場でも欠かせない存在です。
- 国家資格であり就職率・社会的信頼度が高い
- 保育園・児童福祉分野での需要が増加中
- 生活支援・発達支援のやりがいが大きい
- 専門性を活かして長く働きやすい環境が広がっている
これから理学療法士を目指す方、他業種から保育業界への転職を検討中の方は、ぜひ保育とリハビリが交わる領域に注目してみてください。
子どもの成長と未来を支える、やりがいある仕事がきっと見つかります。
