作業療法士(OT)のお仕事とは?

作業療法士(OT)のお仕事とは?

作業療法士(Occupational Therapist、略称OT)は、病院や福祉施設だけでなく、近年では保育園や児童発達支援施設などでも活躍の場が広がっています。特に発達支援や生活動作のサポートを必要とする子どもたちにとって、作業療法士は欠かせない存在です。本記事では、保育分野における作業療法士の仕事内容、必要な資格、給与事情、求人動向などを詳しく解説します。

作業療法士(OT)とは?基本的な役割と仕事内容

作業療法士は、病気や障害、加齢、発達の遅れなどにより生活に支障がある人々に対して、日常生活動作(ADL)の改善や社会参加を促す支援を行う専門職です。「作業」とは単なる労働ではなく、衣服の着脱や食事、遊び、学習など、人が日常的に行うすべての活動を指します。

保育分野では、子どもが園生活や家庭生活で自立して活動できるよう、手指の使い方、姿勢保持、感覚統合、対人スキルなど多方面から支援します。また、保護者や保育士に対するアドバイスも重要な業務です。

保育分野における作業療法士の活躍シーン

  • 発達障害や肢体不自由のある子どもへの個別療育
  • 手先の巧緻性(こうちせい)を高める遊びや制作活動
  • 姿勢・バランス改善のための運動プログラム
  • 感覚統合遊びによる身体感覚の発達促進
  • 保護者への家庭での生活動作支援方法の提案

例えば、はさみがうまく使えない子どもには、粘土遊びや洗濯ばさみを使った遊びで指先の筋力と協調性を高める練習を行います。

作業療法士になるための資格と取得方法

作業療法士は国家資格であり、文部科学省または厚生労働省が指定する養成校(大学・専門学校)で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。合格率は約80〜90%と高めですが、幅広い知識と臨床実習経験が求められます。

特に小児分野で働く場合、発達支援や感覚統合療法に関する専門研修を受けることで、より効果的な支援が可能になります。

給与・年収の相場とキャリアパス

全国の作業療法士の平均年収は約400〜470万円程度(2024年時点)です。保育園や児童発達支援事業所で働く場合は350〜450万円程度が目安ですが、管理職や専門スキルを活かせるポジションに就けば年収500万円以上も可能です。

キャリアの広がりとしては、発達支援センターの管理者、教育機関での発達支援指導員、行政機関の相談員などがあります。

作業療法士が保育施設で働くメリット・やりがい

  1. 子どもの生活自立を支援できる – 食事や着替えなど生活の基本動作を支援し、成長を感じられる。
  2. 感覚統合や巧緻性訓練など専門スキルを活用 – 遊びを通じて機能改善ができる。
  3. 勤務時間の安定性 – 夜勤が少なく、家庭と両立しやすい。
  4. 多職種連携の中で働ける – 保育士や理学療法士、言語聴覚士との協力で幅広い支援が可能。

求人市場の動向と将来性

近年、児童発達支援や放課後等デイサービスの施設数は急増しています。厚生労働省のデータによると、2023年時点で全国に1万5,000カ所以上存在し、5年前と比べて約1.7倍に増えています。この背景には、発達障害の早期発見・早期療育の重要性が社会的に認識されるようになったことがあります。

これに伴い、作業療法士の求人も安定的に推移しており、小児分野での経験を持つOTは特に歓迎される傾向があります。

転職・就職活動のポイント

  • 小児分野での実務経験や研修歴を履歴書で強調
  • 感覚統合、ADL支援、コミュニケーション支援などの実績を具体的に記載
  • 施設の方針や支援対象児の特性を事前に把握
  • 施設見学で現場の雰囲気やスタッフの関わり方を確認

求人票だけではわからない点も多いため、応募前に現場を見学し、実際の支援内容やスタッフ同士の連携状況を把握することが大切です。

まとめ

作業療法士が保育分野で働くことは、子どもたちの生活の質(QOL)を高める重要な役割を担うことを意味します。日常生活の自立支援や発達促進を通じて、子どもたちが自分らしく成長していく手助けができるのは、大きなやりがいです。求人市場でも小児分野のOTは引き続き需要が高く、安定したキャリア形成が可能です。専門性を活かし、保育の現場で子どもたちの未来を支える一員として活躍してみませんか。

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