【電気通信工事施工管理技士】取得するメリットや新設の受験資格を解説

 

電気通信工事施工管理技士は、通信インフラの整備に欠かせない資格です。電気通信工事施工管理技士を取得することで、専門的な知識と技術を身につけ、キャリアアップや転職に有利になります。本記事では、電気通信工事施工管理技士を取得するメリットや令和6年度に改正された受験資格について解説します。

電気通信工事施工管理技士とは

電気通信工事施工管理技士は、携帯電話やインターネットの普及に伴い、2019年に新設された資格です。複雑化する電気通信工事の分野に対応するため、高い知識や技術を持つ人材を確保する目的で設立されました。

有資格者は、「専任技術者」「主任技術者」「監理技術者」など、電気通信工事の責任者として働くことができ、施工計画や安全管理などの施工管理業務を担当します。

専任技術者

専任技術者とは、請負契約の適正な締結や、契約に基づいた工事が適切に履行されているかを管理する技術者です。見積りの作成や契約の締結など、事務的な手続きと技術的な確認作業を担当します。

専任技術者は営業所ごとに1名以上配置する義務があり、基本的には工事現場に出ることはありません。もし、専任技術者が不在になると、建設業許可の維持が難しくなるため、非常に重要な役割を担っています。

主任技術者

主任技術者は、施工現場で工事を直接監督する技術者です。前述の専任技術者が営業所に常駐するのに対し、主任技術者は現場に常駐します。主任技術者の役割は、施工計画の作成、検査や試験の実施、資材などの品質管理などです。現場で働く技術者たちの責任者として、現場の管理全般を担当します。

監理技術者

監理技術者は、下請け契約金額の総額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)の場合に配置が必要な技術者です。主任技術者よりも上位の技術者であり、施工計画の作成、検査や試験の実施、資材の品質管理に加え、下請け業者への指導や監督も行います。

監理技術者には「監理技術者資格者証」があり、発注者からの要請があれば提示が必要です。そのため、この資格証は常に携帯しておくことが求められます。

電気通信工事施工管理技士の仕事内容

電気通信工事施工管理技士の主な業務は、以下のような通信インフラの工事現場での進捗や安全、品質を管理することです。

  • 有線電気通信設備工事(通信ケーブル・CATV ケーブル・電話交換など)
  • 無線電気通信設備工事(携帯電話設備・衛星通信設備・航空保安無線設備など)
  • ネットワーク設備工事(LAN設備・無線LANなど)
  • 情報設備工事(監視カメラ・道路交通情報システム・ETCなど)
  • 放送機械設備工事(放送用送信設備・CATV 放送設備など)

作業が計画通りに進んでいるかを監視し、問題が発生した場合には迅速に対処する能力が求められます。

また、電気通信工事は多くの場合、他のインフラ整備や都市開発と連携することが多いため、行政や他企業との調整業務も重要です。技術的なスキルだけでなく、さまざまな業種の関係者と協力しながら業務を遂行するため、コミュニケーション能力や管理能力も欠かせません。

電気通信工事施工管理技士1級と2級の違い

電気通信工事施工管理技士には1級と2級があり、取得する資格によって担当できる業務の範囲が異なります。

項目 電気通信工事施工管理技士1級 電気通信工事施工管理技士2級
担当可能業務 専任技術者

主任技術者

監理技術者

専任技術者

主任技術者

工事の規模 特定建設業

※請負総額4,500万円以上

一般建設業

※請負総額4,500万円未満

電気通信工事施工管理技士の1級資格は、特定建築業(請負総額4,500万円以上)の工事現場で、専任技術者、主任技術者、監理技術者として従事することができます。一方、2級資格は、一般建築業(請負総額4,500万円未満)の工事現場で、専任技術者や主任技術者として従事可能ですが、監理技術者にはなれません。

電気通信工事施工管理技士を取得するメリット

電気通信工事施工管理技士の資格を取得するメリットを紹介します。

1. 監理技術者として働ける

電気通信工事施工管理技士1級を取得すると、監理技術者として従事することができます。2級を取得した場合は、主任技術者として働くことが可能です。どちらの資格でも専任技術者として従事することができ、電気通信工事の現場において重要な役割を果たします。

2. 貴重な人材として重宝される

通信インフラ整備は国策として推進されている重要な分野であり、経験豊富な電気通信工事施工管理技士の需要が高まっています。特に、5G回線やIT技術の普及に伴い、インフラ工事の需要が急増しているため、資格保持者は貴重な人材として求められています

3. 転職に有利になる

電気通信工事を行うには、専任技術者と主任技術者または監理技術者の配置が必要です。そのため、電気通信工事施工管理技士の資格を持っていることは、転職において非常に有利といえます。資格取得することで求められる専門知識や技術を証明でき、キャリアアップの機会も広がります。

【令和6年度】電気通信工事施工管理技士の改正ポイント

令和6年度から、電気通信工事施工管理技士の受験資格が大きく変更されました。この改正は、これまで資格取得が難しかった層にもチャンスを広げる重要なものです。ここでは、電気通信工事施工管理技士の改正ポイントについて説明します。

新設の受験資格要件

これまでの受験資格では、実務経験が必要であり、経験年数や内容が厳しく規定されていました。しかし、新しい要件では、学歴や一定の研修を修了することで受験資格を満たせるようになります。特に、通信や建設関連の学科を卒業している人や、指定の講座を受講した人にとって、この新設は非常に有利な改正です。

電気通信工事施工管理技士1級
学歴・保有資格 旧受検資格 新受検資格
第一次検定 第二次検定 第一次検定 第二次検定
大学

(指定学科)

卒業後、実務経験3年以上 19歳以上 

(受検年度 末時点)

○1級第一次検定合格後、

  • 実務経験5年以上
  • 特定実務経験1年以上を 含む実務経験3年以上 
  • 監理技術者補佐として の実務経験1年以上 

○2級第二次検定合格後 

  • 実務経験5年以上 (1級第一次検定合格者に限る)
  • 特定実務経験1年以上を 含む実務経験3年以上 (1級第一次検定合格者に限る)
短大・高専

(指定学科)

卒業後、実務経験5年以上
高校

(指定学科)

卒業後、実務経験10年以上
大学

(指定学科以外)

卒業後、実務経験4.5年以上
短大・高専

(指定学科以外)

卒業後、実務経験7.5年以上
高校

(指定学科以外)

卒業後、実務経験11.5年以上
2級合格者 条件無し 2級合格後、

実務経験5年以上

(1級第一次検定合格者に限る)

上記以外 実務経験15年以上

※“国土交通省|令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります”参照

電気通信工事施工管理技士2級
学歴 旧受検資格 新受検資格
第一次検定 第二次検定 第一次検定 第二次検定
大学

(指定学科)

17歳以上 (受検年度 末時点) 卒業後、実務経験1年以上 17歳以上 (受検年度 末時点)) ○2級第一次検定合格後、 実務経験3年以上 (建設機械種目について は2年以上) 

○1級第一次検定合格後、 実務経験1年以上

短大・高専

(指定学科)

卒業後、実務経験2年以上
高校

(指定学科)

卒業後、実務経験3年以上
大学

(指定学科以外)

卒業後、実務経験1.5年以上
短大・高専

(指定学科以外)

卒業後、実務経験3年以上
高校

(指定学科以外)

卒業後、実務経験4.5年以上
上記以外 実務経験8年以上

※“国土交通省|令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります”参照

令和10年までは新旧受験資格を選べる

令和6年度より新しい受験資格要件が導入されましたが、令和10年までは旧受験資格と新受験資格の選択が可能です。既に長期間業界で働いている技術者にとって、自分に合った方式を選べることは大きなメリットといえます。

施工管理技士補があれば第一次検定は免除

新設された制度では、第一次検定に合格した者には「施工管理技士補」の称号が与えられます。施工管理技士補を保有する者が第二次検定に不合格となった場合、次回検定を受講する際の第一次検定は免除対象です。

また、1級の施工管理技士補を保有していると、監理技術者の補佐を務めることができます。通常、監理技術者は2つの現場を兼任することはできませんが、1級の施工管理技士補を配置した場合には、兼任が可能です。

電気通信工事施工管理技士の試験内容

電気通信工事施工管理技士の試験は、第一次検定と第二次検定の2段階に分かれています。令和6年度遺構の試験問題見直しは以下の通りです。

  • 第一次検定: 第二次検定の所要実務経験年数を学歴に拘わらず一定とすることから、第一次検定について、各専門分野の基礎を確認できるよう、必要に応じ、試験問題の充実を図る。
  • 受検者の経験に基づく解答を求める設問に関し、自身の経験に基づかない解答を防ぐ観点から、設問の見直しを行う。

※“国土交通省”参照

2024年の試験スケジュール

2024年度の試験スケジュールは、以下の通りです。

試験日 (1)1級 第一次検定 令和6年 9月 1日(日)

(2) 1級 第二次検定 令和6年 12 月 1日(日)

(3) 2級 第一次検定(前期) 令和6年 6月 2日(日)

(4) 2級 第一次検定(後期) 令和6年 11 月 17 日(日)

(5) 2級 第二次検定 令和6年 11 月 17 日(日)

申込受付期間 (1) 1級第一次検定

令和6年5月7日(火)~5月 21 日(火)

(2) 1級第二次検定

令和6年5月7日(火)~5月 21 日(火)

(3) 2級第一次検定(前期)

令和6年3月6日(水)~3月 21 日(木)

(4) 2級第一次検定(後期)

令和6年7月9日(火)~7月 23 日(火)

(5) 2級第二次検定

令和6年7月9日(火)~7月 23 日(火)

合格発表 (1) 1級第一次検定 令和6年 10 月 3日(木)

(2) 1級第二次検定 令和7年 3月 5日(水)

(3) 2級第一次検定(前期) 令和6年 7月 2日(火)

 (4) 2級第一次検定(後期) 令和7年 1月 6日(月)

 (5) 2級第二次検定 令和7年 3月 5日(水)

※“国土交通省|令和6年度電気通信工事施工管理技術検定の実施について”参照

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電気通信工事施工管理技士は転職やキャリアアップにおすすめ

本記事は、電気通信工事施工管理技士の資格取得のメリットや新設の受験資格について詳しく解説しました。電気通信工事施工管理技士は、通信インフラを支える重要な資格です。キャリアアップや転職に有利になるため、資格取得を検討している方はぜひ参考にしてください。