空調設備の仕事内容とは|業務の種類や1日の流れを解説

現場作業の仕事の中には空調設備に関わる仕事があるのをご存じでしょうか。空調設備といっても家庭にあるものから工場やビルにある設備までさまざまな種類があり、業務の内容についても違いがあります。本記事では空調設備に関わる仕事の種類や業務について解説します。現場作業の仕事を目指している方にとって役立つ情報なので、ぜひ参考にしてみてください。

空調設備の仕事の概要

空調設備の仕事は空調に関わる設備の設置やメンテナンスを行う仕事です。

空調設備の仕事で設置する設備には以下のような物があります。

  • 熱源設備:ヒートポンプやボイラーなど熱を生む設備
  • 熱搬送設備:ダクトや送風機など発生した熱を移動する設備
  • 空調設備:エアコンやエアフィルター、加湿器など室温や空気を調整する設備

一般家庭から工場まで様々な場所で作業を行います。

一般的な空調設備の仕事の流れ

一般的な空調設備の仕事の流れは、以下のようになっています。

  • 7:00 営業所出社
  • 8:00 現場到着
  • 9:00 作業開始、途中30分休憩
  • 12:00 昼休憩
  • 13:00 作業開始、途中30分休憩
  • 17:00 作業終了

繁忙期や緊急作業を除けば、空調設備の仕事は他の現場作業に比べて残業が少なく、保守といった作業なら資格不要で可能です。

空調設備の業務

空調設備の業務には以下のようなものがあります。

  • 新設工事
  • 配管工事
  • ダクト工事
  • 保守・メンテナンス
  • 施工管理

それぞれの業務の内容について解説していきます。

新設工事

新設工事には空調設備の新設、古くなった空調機器の交換設置作業があります。設置するのは室内機や室外機で、2つの機器を動かすための配管工事や電気工事も発生します。

機器を設置するための工事の際は配管を通すために壁に穴をあけたり、配線作業を行ったりする場合があります。空調設備は一度設置すると位置の変更が簡単にできないため、安全性や拡張性を考えたレイアウトの検討が必要です。

配管工事

配管工事は室外機やボイラーなどの機器から室内機までの配管の設置を行なうほか、ガスや冷却水、冷媒を送る配管工事があります。施工する施設や設備にあわせて配管のルートを設計する必要があるため、経験や専門的な知識が求められます。

ダクト工事

ダクト工事は飲食店の換気や工場の排煙や排熱を目的としたダクトと呼ばれる管を設置する工事です。室内側に吸気口、排気側に排気口を設置し、ファンが付いた送風機とダクトをつなげてスムーズに排気できるようにします。

配管工事は水やガス、油といった流体を通すことが目的ですが、ダクトは気体のみを通すことを目的としています。

保守・メンテナンス

保守・メンテナンス作業は空調設備を長く使用できるように定期的にケアする作業のことです。一般的な作業内容は異常がないか点検した上で、適宜フィルターのクリーニング、空調ガスの補充、機器の洗浄などを実施します。

点検する際は室内機や室外機の吸い込み温度や吹き出し温度を測定し温度差によって異常を感知する方法や、配管の温度やガス漏れ、水漏れがないかをチェックします。

施工管理

施工管理は空調設備が安全に行われるよう現場を管理し、関係者や近隣住民とコミュニケーションを取り円滑に工事を進める業務を指します。施工管理を行うのは国が認める有資格者が行います。

空調設備の仕事の平均年収

空調設備の平均年収については幅が広く、公的機関のデータがないため特定できませんが、仕事内容が近い電気工事士の平均が506.8万円(※)となっており、左記の金額と同等であると思われます。

”厚生労働省公式HP”参照

空調設備の仕事に役立つ資格

空調設備の仕事に役立つ資格は以下のようなものがあります。

  • 電気工事士
  • 冷凍機械責任者
  • ボイラー技士
  • 冷媒フロン類取扱技術者
  • 施工管理技士

それぞれについて解説していきます。

電気工事士

電気工事士の資格とは電気工事士法によって定められた一定範囲の電気工事に従事することができる資格のことで、電気配線を工事する空調設備の仕事を行う上で必要です。

電気工事士の種類には作業範囲の違いによって以下の2つがあります。

  • 第二種電気工事士:600V以下で受電する一般用電気工作物等の作業が可能
  • 第一種電気工事士:一般用電気工作物等及び自家用電気工作物(最大電力500 キロワット未満の需要設備に限る)の作業が可能

大まかに分けると第二種は一般家庭における電気工事、第一種は一般家庭に加えて工場やビルなどの電気工事が可能です。

冷凍機械責任者

冷凍機械責任者とは冷凍空調装置の保安を行うための資格で、ビルや工場、商業施設にある業務用の大型エアコンや大型の冷凍庫の管理を行うために必要です。空調設備の仕事としてビルや工場の冷凍空調装置のメンテナンス作業を行ったり、冷凍設備がある企業の保安責任者として活躍したりできる資格です。

冷凍機械責任者の資格区分(※)は以下の通りです。

  • 第一種:すべての冷凍能力がある製造設備における保安
  • 第二種:1日の冷凍能力が300t未満の製造施設における保安
  • 第三種:1日の冷凍能力が100t未満の製造施設における保安

”高圧ガス保安協会公式HP"参照

設備の規模によって等級が定められています。

ボイラー技士

ボイラー技士はお湯や蒸気を供給するボイラーを設置、操作するために必要な資格で、一定規模以上(伝熱面積3平米※)のボイラーを取り扱う際に必要です。空調設備の仕事ではビルや病院といった大型の施設におけるボイラーの設置やメンテナンスを行うのが一般的です。

ボイラー技士の資格区分(※)は以下のボイラーの伝熱面積の違いによって分かれています。

  • 特級ボイラー技士:全てのボイラーを取り扱い可能
  • 一級ボイラー技士:貫流ボイラー制限なし、貫流ボイラー以外500㎡未満において取り扱い可能
  • 二級ボイラー技士:貫流ボイラー250㎡未満、貫流ボイラー以外25㎡未満において取り扱い可能

 貫流ボイラーとは水管の周りをガスで温めることで蒸気を発生させるボイラーのことを指します。

”一般社団法人日本ボイラ協会公式HP”参照

管工事施工管理技士

管工事施工管理技士は冷暖房設備工事、空調設備工事、給排水・給湯設備工事、ダクト工事、浄化槽工事、ガス配管工事、衛生設備工事などにおける管工事を管理できる資格のことです。空調設備の仕事においては、工事現場において配置が義務付けられている管理責任者として活躍することができます。

管工事施工管理技士は管理する現場の規模の違いにより、以下の2つに区分されています。

  • 1級管工事施工管理技士:総額4,500万円以上(建築一式の場合7,000万円以上)の規模の工事における「監理技術者」として現場を監督することが可能
  • 2級管工事施工管理技士:請負代金の大小や元請、下請にかかわらず設置が義務づけられている「主任技術者」として現場を監督することが可能

管工事施工管理技士は設備工事を請け負うゼネコンの下請けのサブコンでの需要が高く、転職やキャリアアップに役立つ資格です。

空調設備の仕事のメリット

空調設備の仕事のメリットには以下のようなものがあります。

  • 屋内作業が多い
  • 転職に役立つ

それぞれについて解説していきます。

屋内作業が多い

一般的に空調設備は屋内作業が多いため、過酷な天候下での仕事を敬遠する方にとって適しているといえます。もちろん屋外の仕事も存在しますが、空調設備は屋内に設置するものが多く屋内工事がメインです。

転職に役立つ

空調設備の工事は電気工事や配管工事など幅広い範囲の工事を行うため、働きながら得た技術はさまざまな企業で役立ちます。例えば空調設備の仕事に必要な知識や電気工事士の資格はビルメンテナンスと相性が良く、実務経験が活かせる転職しやすい業界といえます。

空調設備の仕事のデメリット

空調設備の仕事のデメリットには以下のようなものがあります。

  • 働く時間が不規則な場合がある
  • 業務の範囲が広く覚えるのが大変

それぞれについて解説していきます。

働く時間が不規則な場合がある

空調設備の仕事には緊急性が高いものがあり、代表的なものとして夏場のエアコンの修理があります。工事を請け負ったオフィスのエアコンが故障した場合は、企業の生産性に関わるため緊急での対応が求められます。

このような場合はオフィスの稼働が下がる夜間での作業となったり、オフィスの休業日に作業したりすることになるケースが多いです。

業務の範囲が広く覚えるのが大変

空調設備の仕事は幅広い業界に対応できる技術が得られる反面、覚えるまでに時間がかかり、技術を習得するのが大変な仕事といえます。空調設備の仕事は設備の新設から保守、施工管理も行うなど、さまざまな状況に対応できる技術の習得が求められるため、一人前の技術者になるには時間が必要です。

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空調設備の仕事は初心者でも挑戦しやすく幅広い

空調設備は家庭や工場、ビルなどさまざまな場所にあるため、空調設備に関する仕事は業務の幅が広くやりがいがあります。専門的な資格が必要な作業もありますが、業務によっては初心者でも携わることができます。空調設備に関する仕事を目指している方は、本記事を参考に目指してみてください。