一級・二級建築士の転職と年収実態|設計事務所・ゼネコン・ハウスメーカーの待遇比較

建築士として転職を考えるとき、「一級建築士と二級建築士ではどのくらい年収が違う?」「設計事務所・ゼネコン・ハウスメーカーならどこが高収入?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
建築士の年収は資格だけで決まるものではなく、勤務先の業態や企業規模、担当する建築物、実務経験、役職などによって大きく変わります。
この記事では、一級・二級建築士の年収実態を確認しながら、設計事務所・ゼネコン・ハウスメーカーの待遇や働き方の違い、転職で年収を上げるためのポイントを解説します。

一級建築士と二級建築士の違いとは?

一級建築士と二級建築士の大きな違いは、設計・工事監理を行える建築物の範囲です。
建築士は建築士法に基づく国家資格で、一級建築士は国土交通大臣、二級建築士は都道府県知事から免許を受けます。

一級建築士は建築物の規模・構造に制限がない

一級建築士は、建築物の構造・規模・用途を問わず、設計や工事監理を行うことができます。
戸建住宅はもちろん、マンション、商業施設、オフィスビル、病院、学校、大規模施設など幅広い建築物に携われることが強みです。

そのため、大型案件を扱うゼネコンや組織設計事務所では、一級建築士の資格や取得予定者が評価されやすく、転職時の応募条件や昇進条件になっているケースもあります。

二級建築士は住宅・小規模建築で活躍しやすい

二級建築士は、比較的小規模な建築物の設計・工事監理を行える資格です。
戸建住宅や小規模店舗など住宅分野との相性がよく、ハウスメーカーや工務店、地域密着型の設計事務所などで活躍する建築士も多くいます。

  • 一級建築士:大型施設を含め幅広い建築物を担当できる
  • 二級建築士:戸建住宅など比較的小規模な建築物を中心に活躍しやすい
  • 転職先や担当できる案件の幅は、一級建築士のほうが広くなりやすい

建築士の平均年収はどのくらい?

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、2025年の賃金構造基本統計調査をもとにした建築設計技術者の平均年収は679.1万円、平均年齢は43.4歳となっています。
また、ハローワーク求人統計では2025年度の求人賃金は月額33.8万円、有効求人倍率は2.83倍です。

ただし、この統計は「建築設計技術者」という職業分類のデータであり、一級建築士だけ、あるいは二級建築士だけを集計した平均年収ではありません。
実際の年収は資格、経験年数、勤務先、企業規模、役職などによって大きく変わります。

一級建築士と二級建築士では年収差も見られる

2025年に一級・二級建築士1,007人を対象に行われた民間調査では、現在の年収が700万円以上と回答した人は全体の34.0%でした。
資格別では、一級建築士の44.2%が年収700万円以上だったのに対し、二級建築士では23.7%となっています。

資格を取得すれば必ず高収入になるわけではありませんが、一級建築士になることで担当できる建物や役職、転職先の選択肢が広がり、結果として高い年収を狙いやすくなると考えられます。

設計事務所・ゼネコン・ハウスメーカーの年収と待遇を比較

建築士の転職では、資格以上に「どの業態へ転職するか」が年収や働き方を左右することがあります。
求人や建築業界の転職市場を見ると、勤務先によっておおむね次のような違いがあります。

  • 設計事務所:年収400万円~700万円前後がひとつの目安。事務所規模による差が大きい
  • ゼネコン:年収600万円~900万円前後の求人も多く、大手・管理職ではさらに高年収を狙える
  • ハウスメーカー:年収500万円~800万円前後が目安。大手企業では福利厚生や資格制度も充実しやすい

上記はあくまで転職市場における目安です。同じ業態でも企業規模や経験、役職、勤務地などによって条件は大きく異なります。

設計事務所|設計力や専門性を磨きやすい

設計事務所には、個人経営に近いアトリエ系から、大規模プロジェクトを扱う組織設計事務所までさまざまな企業があります。
意匠・構造・設備などの設計経験を深めやすく、「設計そのものを極めたい」という方に向いている環境です。

一方で給与水準は事務所による差が大きく、小規模な設計事務所ではゼネコンや大手ハウスメーカーと比べて年収が低くなる場合もあります。
転職時には給与だけでなく、担当案件、設計の裁量、使用するCAD・BIMソフト、残業時間なども確認しておきましょう。

  • 設計経験や専門性を高めやすい
  • 幅広い設計工程に携われる職場も多い
  • 企業・事務所による給与や福利厚生の差が大きい

ゼネコン|高年収と大型プロジェクトを狙いやすい

年収アップを重視する建築士にとって有力な転職先のひとつがゼネコンです。
オフィスビル、商業施設、マンション、病院、学校など大規模な建築物を扱うため、一級建築士の資格や大型案件の経験を活かしやすい環境です。

特に大手ゼネコンでは給与や賞与、住宅関連制度、退職金などの福利厚生が充実している企業も多く、管理職やプロジェクト責任者へキャリアアップすることで年収1,000万円以上を目指せるケースもあります。

その一方で、担当するプロジェクトによっては工期への対応、社内外との調整、出張や転勤などが発生する可能性があります。
年収だけでなく勤務地や働き方まで確認することが重要です。

  • 設計事務所などと比較して高年収を狙いやすい
  • 大規模・高難度の建築プロジェクトを経験できる
  • 一級建築士やマネジメント経験が評価されやすい

ハウスメーカー|給与と働きやすさのバランスを取りやすい

ハウスメーカーでは、戸建住宅や集合住宅の設計、顧客との打ち合わせ、確認申請、施工部門との調整などが主な仕事になります。
一級建築士だけでなく二級建築士の資格を活かせる求人も比較的見つけやすい分野です。

大手企業では給与制度や賞与、資格取得支援、育児支援などの福利厚生が整っているケースもあり、「年収も働きやすさも重視したい」という建築士に向いています。

ただし、会社の商品や工法、標準仕様に沿って設計することが多いため、設計事務所と比べるとデザインや仕様の自由度が限定される場合があります。

  • 二級建築士から応募できる求人も比較的多い
  • 大手では給与・福利厚生が充実している傾向がある
  • 住宅設計や顧客との打ち合わせ経験を活かしやすい

建築士が転職先を選ぶときに見るべきポイント

「年収が高い」という理由だけで転職先を決めると、入社後に働き方や仕事内容とのミスマッチが起こる可能性があります。
建築士の求人を見るときは、提示されている年収だけではなく、その内訳や働く環境まで確認しましょう。

基本給・賞与・資格手当を分けて確認する

求人票に「年収600万円」と記載されていても、基本給が高い企業もあれば、残業代や賞与を含めて高く見える企業もあります。
一級建築士・二級建築士の資格手当を支給する企業もあるため、給与条件は細かく比較することが大切です。

残業時間と休日数を確認する

建築設計は工期や提出期限の影響を受けやすく、繁忙期には業務量が増える職場もあります。
年間休日、完全週休2日制の有無、平均残業時間、休日出勤時の振替制度なども転職前に確認しておきましょう。

担当できる建築物・設計工程を見る

同じ「建築設計」の求人でも、基本設計から実施設計、確認申請、工事監理まで携わる仕事もあれば、設計工程の一部のみを担当する仕事もあります。
将来どのような建築士になりたいのかを考え、積める経験から転職先を選ぶことも重要です。

  • 基本給・賞与・資格手当・残業代
  • 年間休日・平均残業時間
  • 転勤・出張の有無
  • 担当する建築物の用途・規模
  • 基本設計・実施設計・工事監理など担当範囲
  • CAD・BIMなど使用する設計ツール
  • 資格取得支援や研修制度

建築士が転職で年収アップするには?

建築士として年収を上げる方法は、単純に経験年数を重ねることだけではありません。
市場価値の高い資格・経験・スキルを組み合わせることで、転職時の選択肢を広げることができます。

一級建築士を取得する

二級建築士として住宅設計などの経験を積んでいる方にとって、一級建築士の取得は大きなキャリアアップにつながります。
大型建築物を扱えるようになることで、ゼネコンや組織設計事務所など転職先の選択肢も広がります。

BIM・CADなどの実務スキルを高める

転職では資格の有無だけでなく、「入社後すぐにどのような業務を任せられるか」も評価されます。
AutoCAD、Jw_cad、Revitなどの実務経験や、BIMを活用した設計経験がある場合は、応募書類や面接で具体的に伝えましょう。

大型案件やマネジメント経験を積む

プロジェクトリーダーや設計責任者として、スケジュール管理や顧客・施工会社との調整まで担当できる人材は、転職市場でも評価されやすくなります。
特に一級建築士の場合、資格と大型案件の実績、マネジメント経験を組み合わせることで高年収を狙える可能性があります。

設計事務所・ゼネコン・ハウスメーカーはどんな人に向いている?

建築士の転職では「どの会社が一番良いか」ではなく、自分が今後どのような仕事をしたいかで勤務先を選ぶことが重要です。

  • 設計力・デザイン力・専門性を高めたい人:設計事務所
  • 高年収や大型プロジェクト、キャリアアップを重視する人:ゼネコン
  • 住宅設計に携わりながら待遇や働きやすさも重視したい人:ハウスメーカー

一級建築士であっても、設計事務所からゼネコンへ転職すれば仕事内容は大きく変わることがあります。
反対に、年収が多少下がっても「設計の自由度を上げたい」「住宅以外の建物を設計したい」と考えて転職する人もいます。
給与だけではなく、仕事内容と今後のキャリアを合わせて考えることが転職成功のポイントです。

まとめ

建築士の年収は、一級・二級といった資格の違いだけでなく、勤務先や企業規模、実務経験、担当する建築物によって大きく変わります。
一級建築士は大型建築物を含む幅広い案件に携われるため、ゼネコンや大手設計事務所など高年収を狙える転職先も選びやすくなります。一方、二級建築士もハウスメーカーや工務店、住宅設計を中心とする設計事務所など、資格を活かせる職場は数多くあります。
転職を考える際は、提示年収だけを見るのではなく、賞与や資格手当、残業時間、年間休日、担当できる案件、将来のキャリアまで比較することが大切です。自分の資格とこれまでの経験を整理し、理想とする働き方に合った建築士求人を探してみましょう。

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