配管技能士の資格とそのメリットとは|携わる仕事や取得方法についても解説
建設現場の仕事の中で配管作業に役立つ、配管技能士の資格をご存じでしょうか。配管技能士の資格があればさまざまな業種への就職が実現しやすく、将来的に独立を目指すことも可能です。本記事では配管技能士の概要や携わる仕事、資格を取得するメリットについても解説します。建設現場の仕事を目指す方は、将来の選択肢が広がる内容なのでぜひ参考にしてみてください。
配管技能士とは
配管技能士とは国が認定する国家検定制度のひとつで、建物の配管工事に携わる人の技能レベルを証明する資格であり、有資格者のみが名乗ることができる「名称独占資格」のひとつです。
工事内容の違いにより以下の種類があります。
- 建築配管作業
- プラント配管作業
建築配管作業
建設配管作業とは「建設業法で定義された管工事」を行う作業のことで、水道、ガスなどの配管工事のうち水道メータ、ガスメータ等の流量測定装置から下流の配管作業のことを指します。
管工事には以下のものがあります。
- 給水装置(水道)工事
- 排水設備工事
- 給湯設備工事
- 衛生設備工事
- 冷暖房設備工事
- 空気調和設備工事
- ガス管配管工事
- 浄化槽工事
上記のものが建築配管作業における具体的な工事内容です。
プラント配管作業
プラント配管作業とは「プラントやその関連設備並びに関連装置の管工事」を行う作業のことで、水道、ガスなどの配管工事のうち水道メータ、ガスメータ等の流量測定装置から下流の配管作業のことを指します。
プラントとは生産設備一式がある工場や発電所、大型の機械装置のことを指します。
配管技能士の仕事
配管技能士の仕事には以下のようなものがあります。
- 配管の工事
- エアコン工事
- 衛生機器の設置工事
それぞれについて解説します。
配管の工事
配管の仕事は住宅から工場までさまざまな建築物の配管のルート設計や施工を行う仕事です。配管の新設以外にも、古くなった配管の交換や修理、洗面所やユニットバス、トイレの設置工事も行います。
配管工事において水やガス、空調の配管で必要とされる管材の種類はそれぞれ異なり、管材を切断したり別の管材と接合させたりするなどさまざまな部材を扱います。接合された部分から水漏れや空気漏れが起こることは許されないため、作業の精密さが求められます。
エアコン工事
エアコン工事は住宅や商業用施設、オフィスなど、さまざま建物に本体と配管、室外機の設置を行います。エアコン稼働時に不具合が起きないように、建物の構造に合わせて設置する必要があるため、専門的な知識や技術が求められます。
エアコン工事は新規購入や買い替えが増える夏季に繁忙期を迎え、空調が効かない室内での作業が基本であるため繁忙期の作業は過酷といえます。
衛生機器の設置工事
衛生機器の設置工事は一般の住宅から大型商業施設などにおいて、外の上下水道へつなぐ配管や建物内の機器へつなぐ配管を通して、キッチンやバス、トイレなどの衛生機器の設置を行う業務です。
エアコン工事と同様に建物にあわせて配管を設置するため知識や経験を要し、設置する機器や建物の大きさによって配管のルートが異なるため、現場に応じた対応力が求められる仕事です。
一般的に衛生機器の配管工事は建物の床下や基礎の上などで行われるため、建物が建った後ではなく途中の工程の現場で行われています。
配管技能士資格を取得するメリット
配管技能士資格を取得するメリットは以下の通りです。
- 主任技術者になりキャリアアップできる
- 独立も可能
それぞれについて解説します。
主任技術者になりキャリアアップできる
配管技能士の資格を持っていれば、管工事における技術的な監督者である主任技術者として活躍することができます。現場によって違いがありますが、主任技術者は一般的に事務作業がメインの業務なので、現場作業に比べて年齢を重ねても続けやすい仕事です。
独立も可能
配管技能士の資格を持っていれば、等級に応じた技能の高さが証明できるため顧客からの信用を得やすく、独立を目指しやすくなります。現場で主任技術者として監督するため、配管技能士2級以上の取得が望ましいです。
配管技能士の等級については次の章で解説します。
配管技能士の資格取得のために知っておくべきこと
配管技能士の資格を取得するために、以下の点について理解しておきましょう。
- 配管技能士の等級区分
- 配管技能士の受験資格
- 配管技能士の過去問から試験対策を行う
それぞれについて解説していきます。
配管技能士の等級区分
配管技能士の等級は以下のような区分があります。
- 1級:上級技能者が通常有すべき技能の程度
- 2級:中級技能者が通常有すべき技能の程度
- 3級:初級技能者が通常有すべき技能の程度
配管技能士には建築配管作業とプラント配管作業がありますが建築配管作業は1〜3級までとなっており、プラント配管作業は1〜2級までとなっています。
プラント配管作業に初級技能者レベルの3級がないのは、プラントには基本的に長い配管が利用され、経験や専門性が問われるためとされています。
定められた技能の程度にあわせて受験資格が設けられており、その内容については次で解説します。
配管技能士の受験資格
配管技能士の受験資格は以下の通りです。
- 1級:7年以上
- 2級:2年以上
- 3級:実務経験があれば可
3級の受験資格として必要な実務経験は6か月以上とされておりましたが、平成25年4月から緩和されて6か月に満たない場合も受験可能となりました。
1級の受験資格のみ学歴や職業訓練歴により実務経験が短縮される場合があります。(※)
以下にまとめました。
学歴・職業訓練歴 | 必要な実務経験 | |
専門高校卒業・専修学校(大学入学資格付与課程)卒業 | 6年以上 | |
短大・高専・高校専攻科卒業・専修学校(大学編入資格付与課程)卒業 | 5年以上 | |
大学卒業・専修学校(大学院入学資格付与課程に限る)卒業 | 4年以上 | |
専修学校または各種学校卒業(厚生労働大臣が指定したものに限る) | 800h以上 | 6年以上 |
1600h以上 | 5年以上 | |
3200h以上 | 4年以上 | |
短期課程の普通職業訓練修了 | 700h以上 | 6年以上 |
普通課程の普通職業訓練修了 | 2800h未満 | 5年以上 |
2800h以上 | 4年以上 | |
専門課程または特定専門課程の高度職業訓練修了 | 3年以上(2級合格後1年以上、3級合格後2年以上) | |
応用課程または特定応用課程の高度職業訓練修了 | 1年以上 | |
長期課程または短期養成課程の指導員養成訓練修了 | 1年以上 | |
職業訓練指導員免許取得 | 1年以上 |
※”厚生労働省公式HP”参照
配管技能士の過去問から試験対策を行う
配管技能士の試験は検定職種ごとに実技試験及び学科試験が行われます。学科試験の対策として検定を実施している中央職業能力開発協会から過去問が配布されています。
以下のリンクより問題を確認して、しっかり対策しておきましょう。
配管技能士の将来性は高まる傾向にある
少子高齢化により、ベテランの配管技能士の引退や新しい配管技能士が不足している流れが進んでおり、資格の有用性が高まっています。ほとんどの建物には配管工事が必要であり、老朽化による建て替えや再開発などあらゆる場所で建物が建設されていくため、ニーズが減ることはなく将来性が高い資格であるといえます。
配管技能士の資格があれば、企業での昇給や監督業務に携わる可能性が高まり、独立も視野に入れて働くことが可能なので、職人として幅広い選択肢を持つために役立ちます。
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需要が高い配管技能士の資格を取得して活躍しよう
配管工事を行う仕事を目指す際に役立つ配管技能士の資格があれば、独立を視野に活躍することができます。企業で働く上でも2級以上の資格があれば主任技術者として内勤で働けるので、長く勤めることも可能です。
実務経験があれば3級は受験資格が得られるため、未経験から配管工事の業務に携わり、高いレベルの配管技能士資格を取得すればキャリアアップも充分可能です。これから現場作業の仕事に就こうと考えている方は、本記事を参考に配管技能士を目指してみてはいかがでしょうか。